作業が終わってから大分時間が経ってしまいましたが、もう車両は送ってひと段落したので、チェリーのロールケージ取り付けのブログを書こうと思います。
ロールケージはサイトウロールケージ様より鉄パイプを曲げたものを提供していただきました。作成予定のロールケージは斜行バー付きの7点式です。
車両はホンダ学園と東大で分担しており、ロールケージの取り付けは東大の担当です。しかし、東大側に溶接ができる人がいないため福岡の豊国学園から助っ人として諸藤くんに来てもらいました。諸藤くんは溶接コンテストでも活躍しているので期待できます。
まずは仮合わせとパイプのカットを同時にやっていきます。仮組みで全てが決まるので慎重にやっていく必要があります。また、サイトウロールケージ様よりいただいたロールケージは長めに作られております。そのためこの段階で長さを計測して車に合うようにカットしないとなりません。ここで少しでも狂うと後の作業に響くため、ちょっと切ったら合わせて、またちょっとカットしたらまた合わせてを繰り返します。
最初にシート後ろのメインフレームの大きさを合わせます。メインフレームが切れたらメインフレームのパイプと板をスポットで溶接します。メインフレームを基準にAピラーの部分もカットして大きさを合わせます。ここでも
同時進行で鉄板をカットして当て板を作ります。段ボールで型を取ってから5mmの鉄板を切ります。
前の4点を切っていい感じの大きさになったら、仮合わせをしながらジョイントを仮付けします。学生2、3人でロールバーを支えながら溶接担当の諸藤くんにスポットで溶接してもらいます。スポットで仮付けができたら全て取り外して車両の外で本格的に溶接します。
ここで土曜と日曜が終わってしまい、諸藤くんは九州へ帰国してしまいました。手伝ってくれてありがとう。今思えば部材のカットなどは先にやっておくべきでした。計画をもっと入念に練るべきでした。
ここからは東大生の力のみで完成させなければなりません。
ロールケージの担当者を決めて溶接の練習からです。次の日の授業終わりを丸々溶接の練習に当てました。本で調べたり、YouTubeで関連動画を見たりして勉強です。ここからは自分は作業ばっかしていたので写真がほとんどありません。
ロールケージは肉厚なので溶接が比較的簡単な方ですがロールケージの鉄をしっかり溶かしてくっつけなければなりません。
やり残されていた部分を溶接して前の4点の溶接は完了です。溶接は初めて本格的にやりましたが面白いですね。狙ったラインで綺麗なビードが作れた時の喜びは普段の実習では味わえません。
ロールケージが当たる車体の部分にボルトが刺さる穴を開けて、ロールケージ、ボディの鉄板、当て板をサンドしてボルトで止めます。
最後にドライバーの頭上、フロントアーチ部分を取り付けます。
サイトウロールケージさんのワンオフのロールケージは車体にぴったりつくように作られています。特にAピラーの部分は密着するように作られており、ロールケージがAピラーから車体にかかる力を受けられるようになっています。このように作ることでロールケージが乗員の保護だけでなく車体の剛性アップに貢献してくれるそうです。
フロントアーチを取り付ける時はアーチを差し込んだ後にマイナスドライバーなどを使い、てこの原理でアーチをピラーにつながるパイプと離れるような力を加えながらボルトを締めて、ピラー部分を外に押しやる力を加えるようにします。こうすることでロールケージがよりピラーに密着して剛性が上がります。チェリーのような70年代の車は剛性U Pの効果がより期待できそうですね。
取り敢えずこれで前の4点が完成です。慣れない作業が多くかなり日数がかかってしまいました。
次はメインフレームから後輪のホイールハウスへと伸びる、後ろの2点の取り付けです。
もちろんホイールハウスは湾曲しているのでそれに合わせて当て板を作らなければなりません。鉄板をバーナーで熱してハンマーでガンガン叩いて形を整えます。これも車体に現物合わせですので形を整えては合わせてみて修正を繰り返します。また、パイプの断面を曲げた鉄板に合うように削ります。やり直しができない作業ですので少し削って合わせてまた削ることを繰り返します。
当て板とパイプの形を整え終わったらこれも仮組みしてからスポットで仮付けします。
仮付けができたら取り出して本溶接。サビが進行しないようにすぐに塗装します。この時期には気温が低くなってきていて、さらに夜の作業ですので塗装のノリが悪くて何度も垂らしてしまいました。
あとはホイールハウスにボルトの穴を開けて作り忘れたホイールハウス内の当て板をめげて作って取り付けます。2回目はもう慣れたもので1時間くらいでできました。
最後にステッカーを貼り付けます。
最後の最後にフロア下の当て板を車体に溶接します。ついでに6点式シートベルトのアイボルトの当て板もボディに溶接しました。
これにて7点式ロールケージ完成です。慣れない作業が多く、完成には当初の予定よりもだいぶ時間がかかってしまいました。
願わくばこのロールケージが活躍することがないように。