ラリー参戦記④~ラリー本番・後編

こんにちは。ブログのラリー参戦記では、一学生の目線からラリーの様子を振り返ります。正式なレポートは報告会動画の中で述べられておりますので、ご覧いただけますと幸いです。なんとなくラリーの雰囲気や様子が伝えられればと思います。温かい目で読んでいただけますと幸いです。

前回までのあらすじ

モンテカルロをスタートした我々は夜通し走り続け、途中サービスを挟みながらヴァランスへと向かいます。ヴァランスに到着後、本格的に競技がスタート。ヴァランス西側の山岳地帯を走ります。競技走行に伴うトラブルも出てきて、サービスも忙しくなってきます。Classification Legを終え、再び一行はヴァランスに帰還。今度はヴァランスの東側を走るCommon leg 1が幕を開けます。

2/2 (Common Leg 1 )

この日も引き続きヴァランスを拠点として周辺の山岳地帯でラリーが開催されます。我々の班はこの日はサービスに専念。早起きしてサービスポイントへと向かいます。この頃は慢性的な睡眠不足が続いていたのですが、朝が超絶弱い私でも、アドレナリンのせいかすぐに起きることができました。人間やればできるものですね。とはいうものの、サービスカーの中で爆睡していました。サポートドライバーの方には申し訳ありません。

移動途中、フレンチアルプスを望む。
山頂に雪はあるものの、暖冬の影響でラリー区間はほぼドライ。

当初予定していたサービス場所が私有地であったため使えず、変更を余儀なくされてしまいます。付近の駅前広場のような場所を一部借りてサービスを行いました。駅前広場とはいっても駅の前にだだっ広くアスファルトが打ってあるだけの場所で、田舎ということもあり電車はほぼ見かけませんでした。何らかの理由で運休になっていたのかもしれません。電車の代替となる路線バスが運行されているようでした。

サービス中のチェリー。現地の方(右)も興味津々

サービスを終えて次のポイントへと移動。フランスの美しい農村風景を眺めながらのワインディングが続きます。いつかここにきてドライブしたいなあなどとぼんやりと考えていました。大小のトラブルはあったものの、この頃は皆サービスに慣れてきたこともあって、比較的スムーズにルーティンをこなしたり、行程を組むことができていました。私は心配性なので毎回かなり早くサービスポイントに着くように予定を組んでしまい、待機時間がかなり長くなってしまっていました。とはいえ余裕があるのに越したことはありません。急遽サービス場所が変更になったり、急遽必要な物を買い出しに行ったりなど、不測の事態が起こるのがラリーです。実際にそのような場面は多々ありました。それにしても余裕ありすぎだった感は否めませんが(笑)

サービス準備中の様子。奥に見える箱のようなものはごみステーション。

次のサービスに向かう途中、ガソリンスタンドで大量のガソリンを携行缶に給油します。サービスの重要な項目の一つが給油です。当たり前ですが、燃費を計算し、各車に必要分の燃料を給油しなければ山道でガス欠になってしまいます。大量の携行缶を車に詰め込んでいたため傍から見たら非常に不審なアジア人だったことでしょう(笑)シビックは燃費が非常に良かったため、いくつかのサービスポイントをパスしていたようです。競技走行にもかからず、10~15km/Lくらいだったと記憶しています。その辺の最近のガソリン車よりよっぽど燃費がよさそうです。

フランスのガソリンスタンドには売店のようなものがセットになっていることが多く、昼食ではそこを利用しました。その日に寄ったスタンドは田舎の非チェーン系のガソリンスタンドであったため、地元のパン屋が併設されており、安価なカスクートを購入できました。ハムとチーズが挟まった簡素な物でしたがまさに「シンプルイズベスト」といった感じでおいしかったです。ラリー期間中はサンドウィッチばかり食べていたような気がします。

次のサービスポイントはとある施設の駐車場を予定していたのですが、スペースが足りなかったため、付近の路側帯に変更します。googleの衛星写真は素晴らしいですね。すぐに適した場所を見つけることができました。場所の変更はLINEにてコドライバーに伝えます。競技中は各車のドライバー・コドライバーとサービス隊からなるライングループを車ごとに作って、効率的な情報伝達を行っていました。また競技車とサービス隊の位置はgoogle mapの位置情報共有を用いて共有を行っていました。多少のラグはあるものの、手軽に場所を把握できるため非常に重宝しました。

WRCで2勝を挙げたブルーノ・サビーの駆るルノー5

このサービスでは各車トラブルが増えてきたこともあり、サービスも慌ただしくなっていました。詳しくは報告会動画で述べられていますが、チェリーのスタビ脱落・パンクとトレノのマフラー脱落が主なものとして挙げられます。時間・工具が限られる中でできる限りの応急処置を行い、競技車を送り出さなければなりません。なかなか時間内で抜本的な解決ができず、悔しい思いをしているメンバーもいました。

サービスを終え、宿に帰還。次の日の用意をして眠りにつきます。長かったヴァランスでの宿泊もこの日で最後。翌日はヴァランスを離れ、再びモナコへと戻っていきます。

2/3 (Common Leg 2・Final Leg )

この日の朝は比較的遅く出発。宿の後片付けをしたのち出発します。競技車はヴァランスからモナコのパルクフェルメへと戻り、その後チュリニ峠でのファイナルレグへと向かいます。我々のサービス班は途中一か所にてサービス。例のごとく非常に余裕をもって到着し、用意を始めようとしたのですが、風が非常に強いためいったん車に退避、競技車の到着を待ちます。

サービスを終え、出発を待つレビン。このサービスは写真を撮る余裕があった(笑)

荒れ狂う風の中、ルーティンワークをスムーズに終えていきます。トラブルがあっても咄嗟には対処できないケースもあり、歯がゆい思いをしました。ドライバーがサービスカーの中で軽食を摂ったあと、競技車を見送ります。ドライバーにはバナナとオレンジが人気でした。現地のオレンジは日本人のイメージするオレンジとは少し異なり、温州ミカンのように小ぶりで皮が薄いものが多かった印象です。側道のような箇所でサービスを行っていましたが、かなり場所が広く、他のサービス隊もちらほらと見かけました。4台すべて見送ると、これにてラリー中の我々のサービスはすべて終了!ほっとする気持ちとあっけなく終わってしまったという気持ちが入り混じります。

サービス中のランチア・フルビアとポルシェ・911

サービスを終えた後はかなり時間に余裕があったためモナコのパルクフェルメへと向かうことにしました。道中、レンタカーのナンバープレートが曲がっていたため地元警察に呼び止められてしまいましたが、ロマンさんに対応していただき何とかなりました。とても心強い存在でした。レンタカーのナンバーが曲がっているときは要注意です。

ニースからエズ村を通ってモナコへと向かう

パルクフェルメに到着すると既に競技車は全台到着していました。いよいよFinal leg。WRCでも有名なチュリニ峠へと向かいます。

Team浪漫の車たち

Final Legは区間が短いこともあり、サービス隊の多くはチュリニ峠で観戦を行います。例年は雪が降り積もっているようですが、この年は雪がほとんどない状態でした。峠の頂上にはコテージやカフェ・レストランがいくつか存在していました。いわゆるスノーリゾートという感じです。走り屋の聖地でもあるようで、新型アルピーヌA110のオフ会も開かれたりしていました。

時間に余裕があったため、近くのカフェに入ってホットドリンクを注文。カプチーノかショコラ(ホットチョコレートのようなもの)が定番のようでした。店内で暖をとっているとネッツ富山のサポドラのお二方もやってきて、お店の方と身振り手振りで会話したりしながら盛り上がりました。

チュリニのカフェレストランにて。ラリープレートがいっぱい。

そうこうしているうちにラリー車が到着。スキール音を立てながら目の前を走り去っていきます。クルマと観客の距離の近さがラリー観戦の醍醐味の一つです。SS区間ではないのですが、サービス精神でどの車両も攻めてくれます。それにしても911が非常に多く、911慣れと言いますか、気付いたら911を見かけても興奮しなくなっている自分がいました。ポルシェカップを除いて世界中で最も911が集まる大会かもしれません(笑)

現地の観客と盛り上がりながら(発煙筒を焚いたり、花火を打ち上げたりする観客もいました!)、Team浪漫の車両の通過を見送った後は再びパルクフェルメへと戻っていきます。

チュリニ峠を占拠する黄色い集団。
今年のツールドフランス第2ステージの舞台にもなった

パルクフェルメに戻ってくるといよいよゴール!長かったような短かったような4日間が幕を閉じます。様々な想定外のトラブルが発生し、まさにジェットコースターのような4日間でした。思うような成績は残せなかったものの、一時は綱渡り状態になりながらも全台完走を成し遂げた達成感から目に涙を浮かべるメンバーもいました。達成感・解放感・後悔などそれぞれが様々な思いを抱えていたことでしょう。最後はドライバーの方に小さなシャンパンを用意し、簡単なシャンパンファイトを行いました。夜がもうすぐ明けそうな中、宿へと戻り、我々のラリーは幕を閉じました。

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